公文書管理条例に自治体ごとで差が出ているのはなぜか
公文書管理条例を読み比べていくと、
条文構成や用語は似ているにもかかわらず、
自治体ごとに力点や運用の考え方に違いがあることに気づく。
ある自治体では文書作成や決裁段階が厚く規定され、
別の自治体では管理体制や情報公開との関係が強く意識されている。
この違いは、制度理解の深さや職員の力量差によるものだろうか。
そうした要素が全く影響していないとは言えない。
しかし、それだけで自治体ごとの差を説明することは難しい。
1.条例は「公文書管理法の写し」ではない
公文書管理条例の多くは、国の公文書管理法をベースにしている。
そのため、作成義務や管理義務の基本構造は共通しており、
表面的には大きな差がないように見える。
しかし、条例は国の法律をそのまま写しただけの事務ルールではない。
どの条文を厚く書き、
どこをあえて簡潔にとどめるかには、
その自治体が抱えてきた課題や経験が反映される。
つまり条例は、
過去の行政運営への「応答」として作られている
と見ることができる。
2.差を生む最大の要因は「何を怖れているか」
公文書管理条例に差が出る大きな要因の一つは、
その自治体が行政運営の中で
何を最もリスクとして意識してきたかにある。
- 後になって判断理由を説明できなくなること
- 組織の中で責任の所在が曖昧になること
- 情報公開や住民からの検証に耐えられなくなること
どこで行き詰まりを感じたか、
どこで説明に苦しんだ経験があるかによって、
条例が向き合う論点は変わってくる。
その結果として、
- 文書作成段階を重視する条例
- 管理・統制の仕組みを厚くする条例
- 情報公開を強く意識した条例
といった違いが生まれている。
これは、どれが正しいか、優れているかという話ではない。
それぞれの自治体が、
自らの経験や問題意識に即して制度を設計してきた結果
と捉える方が実態に近い。
おわりに
公文書管理条例を理解する際、
「どの自治体の条例が優れているか」を比べるよりも、
その自治体は、
何を最も怖れてこの条例を作ったのか
という問いを立てる方が有益である。
この視点を踏まえた上で個別の自治体の条例を見ていくと、
なぜその条文が置かれ、どこに力点があるのかが分かりやすくなる。
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