「文書管理と文書整理は、似ているが役割が違う」(自治体第4回)
自治体では長年、「文書管理」という言葉で、
文書の整理、分類、保存を指してきました。
年度ごとに整理し、文書番号を付け、保存期間を管理する。
この取り組みは、自治体運営の基盤であり、
多くの職場が丁寧に積み重ねてきた分野です。
ただ、これまで見てきたように、
整理や分類をきちんと行っていても、
説明や引き継ぎで困る場面はなくなりません。
文書はそろっているのに、
判断の経緯が分からず、人を探し回る。
この違和感は、現場で広く共有されているはずです。
理由は単純です。
文書整理と、仕事の中で必要な文書管理が、
同じ言葉で呼ばれてきたからです。
少し時間の流れで考えてみます。
一つは、仕事が終わった「あと」の文書管理。
整理、分類、保存、廃棄。
決まった結果を整え、後から確認できるようにする管理です。
これは、自治体が長年得意としてきた領域です。
もう一つは、仕事をしている「途中」の文書管理。
検討していた点、迷っていた理由、
判断の分かれ目。
業務の流れの中で生まれる情報を、
そのまま残していく管理です。
日本の自治体では、この「途中」の部分に
はっきりした名前が付かないまま、
文書管理といえば
「あと」の作業を指すようになってきました。
その結果、決定文書は残っているのに、
「なぜその判断に至ったのか」を
文書だけで説明しにくくなっています。
海外では、文書そのものだけでなく、
文書が持つ情報や判断の意味まで含めて管理する
という考え方が広がっています。
これを「文書マネジメント」
「文書情報マネジメント」と呼ぶこともあります。
新しい作業を増やす話ではありません。
これまで大切にしてきた
「整理・保存」に、
業務の途中で生まれる判断の情報を
少し重ねる。
それだけで、文書は「保存物」から、
説明し、引き継ぎ、次の業務に活かせるものへと変わります。
次回は、なぜ今、この考え方が
あらためて必要とされているのか。
世界の動きも踏まえて整理します。

