自治体では長年、「文書管理」という言葉で、
文書の整理、分類、保存を指してきました。
年度ごとに整理し、文書番号を付け、保存期間を管理する。
この取り組みは、自治体運営の基盤であり、
多くの職場が丁寧に積み重ねてきた分野です。

ただ、これまで見てきたように、
整理や分類をきちんと行っていても、
説明や引き継ぎで困る場面はなくなりません。
文書はそろっているのに、
判断の経緯が分からず、人を探し回る。
この違和感は、現場で広く共有されているはずです。

理由は単純です。
文書整理と、仕事の中で必要な文書管理が、
同じ言葉で呼ばれてきた
からです。

少し時間の流れで考えてみます。

一つは、仕事が終わった「あと」の文書管理。
整理、分類、保存、廃棄。
決まった結果を整え、後から確認できるようにする管理です。
これは、自治体が長年得意としてきた領域です。

もう一つは、仕事をしている「途中」の文書管理。
検討していた点、迷っていた理由、
判断の分かれ目。
業務の流れの中で生まれる情報を、
そのまま残していく管理です。

日本の自治体では、この「途中」の部分に
はっきりした名前が付かないまま、
文書管理といえば
「あと」の作業を指すようになってきました。
その結果、決定文書は残っているのに、
「なぜその判断に至ったのか」を
文書だけで説明しにくくなっています。

海外では、文書そのものだけでなく、
文書が持つ情報や判断の意味まで含めて管理する
という考え方が広がっています。
これを「文書マネジメント」
「文書情報マネジメント」と呼ぶこともあります。

新しい作業を増やす話ではありません。
これまで大切にしてきた
「整理・保存」に、
業務の途中で生まれる判断の情報を
少し重ねる。
それだけで、文書は「保存物」から、
説明し、引き継ぎ、次の業務に活かせるものへと変わります。

次回は、なぜ今、この考え方が
あらためて必要とされているのか。
世界の動きも踏まえて整理します。