業務の視える化というと、「大変な改革」という印象を持たれがちだ。
しかし、いくつかのセオリーを押さえれば、過剰に構える必要はない。

セオリー①

立場を超えて「目的」を共有する

まず共有すべきなのは、やり方ではなく目的である。

雇用形態を問わず、
実務を担う担当者とともに、
業務の実態を捉えていく。

この前提を最初に明確にすることが重要だ。

視える化は、個人を管理したり、正しさを裁いたりするためのものではない。
現状を知り、問題に気づき、課題を共有するための取り組みである。

セオリー②

手順の前に、業務を棚卸す

次に行うのは、業務の棚卸しである。
どのような業務が、どれだけ存在しているのか。
まずは全体像を把握する。

この段階で、漏れが出るのは自然なことだ。
重要なのは、一度で全部出すことではない。

セオリー③

漏れがある前提で、重点業務から試す

業務をある程度洗い出したら、
処理件数が多いものや重要度の高いものをいくつか選び、
まずはそこから試してみる。

選んでやってみることで、初めて漏れに気づく。

セオリー④

ジェネラルフローを共有する

重点業務について、ジェネラルフローを作成し、
実務を担う担当者と共有する。

細かくしすぎない。
ただし、判断点や分岐点は漏らさない。

セオリー⑤

正しさより「実態」を優先する

手順書や規則との齟齬があっても構わない。
それらは過去に作られたものであり、
環境の変化によって実作業が変わるのは当然である。

目的は、正解を決めることではない。
現状を知り、問題を発見し、課題を共有することだ。

セオリー⑥

スイムレーンで業務を描く

ジェネラルフローを、
縦軸を時間、横軸を処理者またはチームとした
スイムレーンの業務フローに落とし込む。

処理ボックスは一段階だけ細分化する。
発生する文書についても、一時的なものか、記録として残すものかを区別する。
以下にスイムレーンを使った業務フローの例を示します。

スイムレーンを使った業務フロー例(PDF版)

この段階では、
実務を担う担当者の認識の違いや、正しさは問わない。

セオリー⑦

違和感・詰まり・属人点を拾う

描いた業務フローをもとに、

  • 手が止まるところ
  • 無理な調整が必要なところ
  • 特定の人に依存している工程

を拾い上げる。

ここでは、
実務を担う担当者の目線と、管理者の目線の両方が必要だ。

重要なのは、問題だと断じることではない。
存在を共有することである。

視える化は「気づく力」を育てる

業務の視える化は、完成させることが目的ではない。
現状を描き、手が止まるところに気づく。
その積み重ねが、組織の力になる。