第5回 ふるさと納税に必要なのは「担当課」ではなく「業務設計」である ― “担当者の問題”ではなく、行政運営の問題として考える
ふるさと納税の問題を考えるとき、
「制度違反があったのか」
「誰が確認していたのか」
「担当者は理解していたのか」
「担当者の独断ではなかったのか」
「上司のチェックが甘かったのではないか」
という話になりがちです。
もちろん、それも重要です。
しかし、本当に考えなければならないのは、もっと手前の部分なのかもしれません。
そもそも、これほど複雑化した業務を、
自治体は“組織として管理できる形”にできているのか。
前例踏襲や都度調整だけで、
継続的に運営できる状態になっているのか。
担当者の経験や努力に依存しすぎていないか。
業務の全体像は見えているのか。
ふるさと納税は、単なる寄附受付事務ではありません。
返礼品の選定。
事業者対応。
契約。
広告。
配送。
ポータルサイト管理。
費用管理。
税務処理。
議会説明。
市民説明。
多くの業務が同時並行で動いています。
しかも、それぞれが連動しています。
返礼品が増えれば、事業者対応が増える。
広告を増やせば、費用管理も複雑になる。
寄附が増えれば、問い合わせや配送管理も増える。
つまり、ふるさと納税は、最初から“組織横断業務”なのです。
ところが実際には、
「担当課の仕事」
「担当者の経験」
「前任者からの引継ぎ」
に大きく依存したまま運営されている場面も少なくありません。
その結果、
担当者の判断に依存する。
上司も全体を把握しきれない。
忙しさの中で確認が形式化する。
結果として、独断や見落としが起きる。
そうした状態が生まれやすくなります。
ここに、今の自治体運営の難しさがあります。
本来必要なのは、誰かを責めることではなく、
どんな業務が存在し、
どこで重要な判断が行われ、
どこに確認が必要で、
どの部署が関係しているのか、
まず、その全体像を組織として把握することなのかもしれません。
もちろん、これは簡単な話ではありません。
大きな仕組みを導入すれば解決するほど、単純な問題でもありません。
現場だけで解決できる話でもありません。
しかし少なくとも、
「担当者の注意不足」
「確認不足」
「引継ぎ不足」
「担当者の独断」
「上司のチェック不足」
だけで説明できる段階では、もうなくなっているように見えます。
ふるさと納税の問題は、単なる制度運用の問題ではありません。
自治体が、
複雑化した行政運営を、
今の仕組みのままで支え続けられるのか。
そのことを、私たちに問いかけているように思えます。
必要なのは、精神論ではなく、
現場任せでもなく、
誰か一人の努力でもありません。
そして、おそらく最も難しいのは、
新しい制度を作ることではなく、
「問題の本質はどこにあるのか」
この認識を共有することなのだと思います。
市民。
議会。
首長。
そして職員自身。
まず、
「これは単なるミスではなく、行政運営そのものの問題なのではないか」
そこに辿りつけるかどうか。
実は、それが最初の大きな壁なのかもしれません。
そして、その認識が共有できたとき、
ようやく自治体は、
今の運営の仕組みそのものを、静かに見直していく段階に入れるのだと思います。

