「文書はそろっているのに、なぜ説明や引き継ぎで探し回るのか」(自治体第2回)
過去の案件について説明を求められ、
「資料は残っているはずだ」と思いながら、
庁内の共有フォルダを開いたことはないでしょうか。
検討資料、会議資料、決裁文書。
年度別に整理され、分類もされている。
文書管理ができていない、という印象はありません。
それでも、説明しようとすると手が止まります。
なぜこの対応になったのか。
なぜ別の選択肢は採らなかったのか。
資料を見返しても、その判断の分かれ目が見えてこない。
結局、
フォルダを行き来し、
過去のメールやメモを探し、
「当時の担当は誰だったかな」
「異動前の〇〇さんなら分かるかも」
と、人を探し始めることになります。
引き継ぎの場面でも同じです。
文書一式はきちんと渡される。
しかし、新しい担当者が知りたいのは、
決定事項そのものより、
「なぜそう判断したのか」という経緯です。
ここで多くの現場は、
「文書整理が足りなかったのではないか」
「分類が甘かったのではないか」と考えます。
けれど、整理や分類を見直しても、
この“探し回る状況”はなかなか解消されません。
理由は、文書の量や整理方法ではありません。
仕事では、検討し、迷い、比較しながら判断します。
しかし文書として残るのは、
判断が終わった後の最終資料だけです。
住民対応で悩んだ点。
内部で意見が分かれたところ。
最後に決め手になった理由。
こうした「考えていた過程」は、
仕事の中には確かにあったのに、
文書としてはほとんど残っていません。
だから後から振り返るとき、
文書だけでは足りず、
人や記憶を探し回ることになるのです。
次回は、
なぜこの状態が多くの自治体で当たり前になっているのか。
そして、文書整理を否定せずに、
説明や引き継ぎが楽になる考え方について掘り下げます。

