「文書管理は“仕事のあと”にやるものではない」(民間企業第3回)
多くの企業では、
「仕事が終わったら、文書を整理する」
という順番が当たり前になっています。
企画が固まり、
決裁が下り、
案件が一区切りついた後で、
資料をまとめ、フォルダに格納する。
このやり方自体が、間違っているわけではありません。
ただ、この順番には一つ、大きな弱点があります。
仕事の中で行われていた
検討、迷い、比較、判断の理由が、
仕事が終わる前に消えてしまうのです。
第2回で触れたように、
私たちは仕事の中で、
A案とB案を比べ、
「ここが引っかかる」
「この条件では難しい」
と考えながら判断します。
しかし文書として残るのは、
判断が終わった後の最終資料だけ。
考えていた途中のことは、
記録されないまま流れていきます。
その結果、
説明や引き継ぎの場面になると、
「なぜこう決めたのか」を
人の記憶に頼って補うことになります。
ここで重要なのは、
「もっと文書を増やすこと」ではありません。
また、
「細かく記録を書け」という話でもありません。
ポイントは、
文書を残すタイミングです。
仕事の途中、
判断が行われたその場で、
「何に迷ったか」
「何が決め手だったか」
が、自然に残る。
この状態になると、
後から説明するために探し回る必要はなくなります。
引き継ぎも、
「背景が分からない」状態になりにくくなります。
文書管理を
「仕事のあとにやる作業」から、
「仕事の流れの一部」へ。
この順番の転換が、
これまで感じてきた
説明や引き継ぎの苦労を、
少しずつ減らしていきます。
次回は、
この考え方が、
「文書整理」や「分類」と
どう違うのか。
そして、なぜ混同されやすいのかを整理します。

