日本の企業では長年、
「文書管理」という言葉で
文書の整理や分類、保存を指してきました。

ファイルを整え、
フォルダ構成を決め、
保存ルールを守る。
この取り組みは、とても重要です。
実際、日本の多くの企業は
この点で高い水準にあります。

ただ、ここまでの回で見てきたように、
整理や分類をきちんと行っていても、
説明や引き継ぎで困る場面はなくなりません。

その理由は、
文書整理と、仕事の中で必要な文書管理が、
同じ言葉で呼ばれてきたこと
にあります。

少し時間軸で考えてみます。

一つは、
仕事が終わった「あと」の文書管理。
整理、分類、保存、廃棄。
これは、成果を整え、守るための管理です。

もう一つは、
仕事をしている「途中」の文書管理。
検討していたこと、
迷った点、
判断の分かれ目。
仕事の流れの中で生まれる情報を、
そのまま残していく管理です。

日本では、この「途中」の部分に
はっきりした名前が付かないまま、
文書管理と言えば
「あと」の作業を指すようになってきました。

海外では、
文書そのものだけでなく、
文書が持つ情報や判断の意味まで含めて管理する
という考え方が広がっています。
これを
「文書マネジメント」
「文書情報マネジメント」
と呼ぶこともあります。

新しいことを増やす、という話ではありません。
整理や分類をやめる、という話でもありません。

すでに得意な「あと」の管理に、
これまで手薄だった
「途中」の管理を重ねる。
それだけで、
文書は“保存物”から
“仕事に使える情報”へ変わります。

次回は、
この考え方を
なぜ今、あらためて考える必要があるのか。
国際的な動きも含めて整理してみます。