多くの自治体では、
「仕事が一段落したら文書を整理する」
という流れが当たり前になっています。

事業の方針が決まり、
決裁が終わり、
対応が一区切りついたところで、
資料をまとめ、フォルダに格納する。

このやり方自体が、間違っているわけではありません。

ただ、この順番には一つ、見落とされがちな点があります。

仕事の中で行われていた
検討、迷い、調整、判断の理由が、
仕事が終わる前に消えてしまうのです。

第2回で触れたように、
自治体の仕事では、
複数の選択肢を比べ、
住民対応や法令との関係を考え、
「ここは慎重に進めよう」
「今回はこの判断で行こう」
と、悩みながら決断しています。

しかし文書として残るのは、
判断が終わった後の決定文書や資料だけ。
検討の途中で何を気にしていたのか、
どこで意見が分かれたのかは、
文書にはほとんど残りません。

その結果、
説明や引き継ぎの場面になると、
「なぜこの対応になったのか」を
人の記憶に頼って補うことになります。

ここで大切なのは、
「もっと文書を増やすこと」ではありません。
また、
「細かい記録を残せ」という話でもありません。

ポイントは、
文書を残すタイミングです。

仕事の途中、
判断が行われたその場で、
「何に迷ったのか」
「どこが判断の分かれ目だったのか」
が、自然に残る。

この状態になると、
後から説明するために探し回る必要はなくなります。
異動があっても、
「経緯が分からない」案件は生まれにくくなります。

文書管理を、
「仕事のあとにやる作業」から、
「仕事の流れの一部」へ。

この順番の転換が、
日々の説明や引き継ぎの負担を、
少しずつ軽くしていきます。

次回は、
この考え方が
「文書整理」や「分類」とどう違うのか。
そして、なぜ混同されやすいのかを整理します。