ふるさと納税をめぐるニュースを見ると、

返礼割合オーバー
産地偽装
地場産品基準のグレーゾーン問題
個人情報漏えい
ワンストップ申請処理の遅れ
委託先とのトラブル

など、
様々な問題が繰り返し報じられている。

中には、

「これは本当に地場産品なのか?」
「実質的には返礼割合オーバーではないか?」

といった、
かなり判断が難しいケースもある。

また、問題が起きた後に、

誰が全体責任者だったのか
どこまでが委託先の責任なのか
なぜその判断になったのか
が、うまく説明できなくなるケースも少なくない。

もちろん、ルール違反は許されるものではない。

しかし私は、
これらを単なる「不祥事」とだけ見てしまうと、
本質を見誤るのではないかと思っている。

「寄附制度」のはずが、実際は巨大運営業務

多くの人にとって、
ふるさと納税は「寄附制度」である。

しかし、
自治体の現場で起きているのは、
実はかなり大変な業務だ。

例えば、

ECサイトへの返礼品登録
在庫調整
配送管理
問い合わせ対応
個人情報管理
委託業者との調整
契約管理
年末の大量処理

など、
多くの仕事が同時に動いている。

しかも相手は全国。

年末には申請や問い合わせが一気に集中する。

これは、
昔ながらの自治体業務とは、
かなり性質が違う。

言ってしまえば、

「自治体の中に、大きなネット通販業務が突然入ってきた」

ようなものなのである。

しかし、仕事の回し方は昔のまま

問題はここからだ。

ふるさと納税業務は急速に大きくなった。

しかし、多くの自治体では、

「この仕事は○○課」
「資料は担当者ごとに管理」
「前任者から口頭で引継ぎ」
「メールとExcelで管理」

といった、
昔ながらのやり方のまま対応している。

すると、

誰が全体を見ているのかわからない
委託先との役割分担が曖昧になる
問題が起きた時に経緯を追えない
「あの人しかわからない」状態になる

といったことが起きやすくなる。

現場は、
決してサボっているわけではない。

むしろ少ない人数で、
かなり頑張って回している自治体が多いと思う。

しかし、

「仕事全体を管理する仕組み」

が、業務の巨大化に追いついていないのである。

ふるさと納税問題第三者委員会意見

実際、近年のふるさと納税問題では、

返礼割合
費用の考え方
運営方法
事務処理

など、様々な点が論点となってきた。
もちろん、制度運用には適切さが求められる。

一方で、第三者委員会の議論などを見ていると、
単なる「担当者のミス」や「一自治体だけの特殊な問題」
としてだけでは整理しきれない面もあるように感じる。

ふるさと納税は、

  • 外部委託
  • 大量データ処理
  • 全国対応
  • スピード要求
  • 複数事業者連携

などを伴う、非常に複雑な運営業務になっている。

そのため、
従来の自治体業務の延長だけでは、管理や統制が難しくなる場面も、
今後さらに増えていくのではないだろうか。

問題は、
「誰か一人が悪かった」だけではなく、

こうした巨大業務を、自治体がどう管理していくのか、
という点にもあるように思う。

問題は「人」より、「仕組み」

ふるさと納税の問題が起きると、

担当者
首長
自治体

への批判が集中しやすい。

もちろん責任はある。しかし本当に考えるべきなのは、

「自治体は、この巨大業務を管理できる仕組みになっているのか」

ではないだろうか。

もし、

・情報がバラバラ
・記録が残らない
・委託先との役割が曖昧
・全体を把握する人がいない

状態であれば、

今後、ふるさと納税以外でも、
同じ問題は繰り返されると思う。

現場の努力だけでは、
支えきれなくなっている部分もあるように思う。

では、
なぜ自治体では、こうした巨大運営業務の管理が難しくなりやすいのか。

次回は、
「誰が悪いか」だけでは見えにくい、
行政組織側の構造について考えてみたい。