また、発覚した検査データ不正
皆さんもご存知の通り、2021年6月29日 三菱電機から長崎製作所での不適切な検査についてのお知らせが発信されて以降、次々と続報の報道もあり、7月2日には社長が辞意を表明するに至っています。検査データ不正という観点から言えば、これより先に、東洋ゴム工業、日立金属などでも発覚しており、何もこれが初めてではないことが誠に残念です。
内部的には、これらの事例を反省材料とされていたのかも知れませんが、結果的には、他山の石として身を引き締めることなく、他人事としていたという状況ではないでしょうか。
外部弁護士による調査委員会での調査に感じる限界
この件でも、またも、外部弁護士を中心とした原因究明と再発防止策を検討を行うということです。
これまでの検査データ不正事件での発表された原因、再発防止策については、実際に起きた不正の直接的な原因や対策は打ち出してはいますが、会社としての根本的な組織文化や価値観の改革にはあまり触れられていないなと感じていました。特に、「検査データ不正」という点だけに焦点があたっていることに違和感がありました。「検査データ不正」というのは、組織の歪が現れた氷山の一角に過ぎない筈なのですが。
文書情報マネジメントから見た「検査データ不正」
東洋ゴム工業、日立金属、今回の三菱電機に、共通するところは、お客さまと約束したことを果たしていない。その一つの事象として、「検査データ不正」があることです。
今回に三菱電機のケースにだけある事象としては、実測もしないで検査データを生みだしているというところです。
文書情報マネジメント観点からは、以下の対策が少なくとも必要と考えます。
いかがでしょうか。皆さんも考えてみませんか。
1.お客さまとの契約書、約束事項はいつでも見れるようにしておく。
また、実行されているかどうか定期的な点検を行う。
2.お客さまに提出している検査データについては、生データまで、追跡できる
事後検証可能な体制を整え、定期的な点検を行う。
DX時代だからこそ考えたい記録の電子化
コロナ禍で判明したのは、日本の多くの企業はまだまだ紙文書、紙記録の段階であったというところです。テレワークすらできないということで、記録や文書の電子化も進みつつあります。一方、記録や文書の電子化の効果算出を通常業務の工数削減だけで測っていると投資判断が遅れてしまうことがあります。
例えば、上で示したような対策の実施は、紙では事実上不可能となります。
どういうことかというと紙の場合、記録や文書の有無、保存場所は、結局、担当部署任せになってしまい。第3者が立ち入ることができない状況を作りだしてしまうからです。
これまでの内部監査や税務監査を思い浮かべて頂くと、被監査部署が求められる資料を提出するという図式であったかと思います。不正を防止するのに効果が高いのは、第3者にも確認、追跡できるようにしておくことです。このようなことを実現するには、電子化しかありません。
実は、電子帳簿保存法の初期の頃は、帳票や証憑は紙のままがいいというお客さまが少なからずおられました。その理由として、電子化すると一気に調査が進んでしまうからというこでした。なるほどと思った反面、残念にも思いました。逆に言えば、抵抗したくなる程、効果はあるのではないでしょうか。
参考にしたい日立金属の再発防止策
2021年1月28日 日立金属から「当社製品における不適切な検査等に関する調査報告及び再発防止策並びに役員の処分について」が発表されています。いろいろ特筆すべき点はありますが、特に、一度見て頂きたいのは、品質管理プロセスの改善の2つの対策です。
①新規受注時の決定プロセスの強化
②人為的な検査結果の書換え等を防ぐためのITシステムの構築
これらは、まさしく電子化をしないと実現できない対策です。紙でやっていたのでは、スピードが遅く失注するとか、書き換えは防げないというところです。
やはり気になる
これらの対策は本来は外部から押し付けられただけでは、世の常として形骸化します。
検査データ不正だけではなく、会社の業務の基本として何度も何度も、毎年毎年積み重ね自社の文化としていくことが大切なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
文書戦士
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