「暗黙知」、「形式知」とSECIモデル
1990年代中頃に、野中郁次郎氏らが「知識創造の方法論」の中で、知を生み出すプロセスは、SECIモデルであるとしている。すなわち、このモデルでは、知識を「暗黙知」と「形式知」に分け、①共同化(Socialization)、②表出化(Externalization)、③連結化(Combination)、④内面化(Internalization)のステップを経て、知をスパイラルアップ的に創造、蓄積するととしている。
「暗黙知」は、個人が持っている文書や言葉で表現できないような主観的なノウハウや信念といった他人に伝えることが困難な知識であり、「形式知」は、言語化可能で文書や言葉で表現できる客観的な知識と言われています。詳しくは原本を一度読んでみることをお薦めします。ちょっと高尚な知にも感じます。
みなさん「暗黙知」の「形式知化」が必要とはおっしゃるが
野仲先生の言うほど高尚な知ではなですが、身近なところで、「仕事の手順」、「仕事のノウハウ」、「過去の失敗」などに対しても、「暗黙知」の「形式知化」が必要であるとよく聞きます。
これは、仕事の手順やノウハウ、経験を属人的に個人の頭の中だけにしまうのではなく、それを文書にして、他の人もそれを活用して、より効率的に、場合によっては、新しい価値を生み出すことが必要だということを指していると思います。
「暗黙知」の「形式知化」のために何をやってますか?
あなたの会社では、「暗黙知」の「形式知化」のために何をやってますか?
私自身の経験で言えば、30~40年前、紙ベースで仕事をした時は、きちんとレポートにまとめ、上司も何度もダメ出しをして、他の人が読んでもわかるレポートを残すことが普通でした。しかしながら、今は情報量の多さ、仕事に要求されるスピードが高速化したため、そこまではやれていないのではないでしょうか。
電子文書管理を活用しよう
個人の経験を文書にする
まず、最初に、根付かせることが必要なことは個人の経験を文書にして共有することです。
精緻な文書の作成には、はかなりの工数が掛かりますが、簡単なものでも個人の負担は大きいです。
ただ、通常にライン業務だけを行うのではなく、このような経験を文書にする時間をチーム内でもっていいかも知れません。また、文書化が負担な場合は、録画映像に残すことも考えませんか。
作成した文書を組織で共有する
文書化したので、ファイルサーバーに登録し、チームで共有しました。
これで「共有化」できたのでしょうか。いえいえ、まだ、その段階ではないと思います。
つまり、他人の書いた文書がファイルサーバーにあっても、自分が必要な文書がそこにあるとわからなければ、他人は利用しません。
検索できるようにする
こうした文書は、少なくとも、属性検索や全文検索ができるようにしておかないと利用できません。しかしながら、多くの文書はファイルサーバーに入れただけになっております。そのような状況ではファイルサーバーの中身は使いようがないので、「ゴミ」同然となります。
サーベイを行い、分析を行い、意味づけも
さすがに、登録文書の一件一件について、分析を行っていると時間が足りないので、
定期的に、新規登録文書をサーベイし、その評価を付けて、利用しやすくしてもよいのではないでしょうか。
ここまで、行って初めて、「共有化」できていると言えると思います。でしょうか。そこにAIを利用してもよいでしょう。
マニュアル化する。
チームのメンバー全員が知として共有するには、次に、高度な分析や解釈などを行って、マニュアル化等の文書化、わかりやい動画コンテンツやe-learning化が必要です。
この段階が、「表出化」だと思います。中々機械的にできることではなく、有能な人材が汗をかいて初めて到達できます。
人の要素を重視する。
ともすれば、ファイルサーバー、クラウドストレージを用意しましました「情報共有できています。」、属性検索・全文検索ツールを導入しました「ナレッジマネジメントができます。」ということで安心しがちです。
確かに、過去に比べてれば、それらのツールの導入費用は割安であり、利用しやすくなってきています。
そこで重要なのが、人の要素です。①個人の経験を登録する、②登録した文書の評価付けを行う、③マニュアル化等で知を生み出す。これが、「暗黙知」から「形式知」を生み出すのに重要なこととなります。
いかがでしたでしょうか。
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