電子文書管理

記録マネジメントのISO 【分類】

記録マネジメントのISO

記録マネジメントにISOがあるのをご存知ですか。
知ってる、知ってるISO9001,ISO14001で示されている「文書化した情報」のパートの部分でしょう。とお答え頂く方もいらっしやると思いますが、「惜しい!」もっと基本的なもの、バイブル的なものがあるのです。

それが、ISO15489-1(-Information and documentation-Records management-Part 1: Concepts and principles.「情報及びドキュメンテーション-記録マネジメント-第1部:概念及び原理」)なのです。2001年に第1版が発行され、2016年に第2版が発行されています。

1SO9001やISO14001と違って、審査や認証にはつながっておらず、記録マネジメントに関する基本的な考え方を示したものです。

2016年版改訂の解説

このISOを読んでも法律条文のようで何がポイントなのか、何故変えたのかは残念ながらわかりません。そこで記録管理に関する重鎮である小谷允志氏が、公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会の機関誌IM(オンランで視聴可)の、2020年11・12月号、2021年1・2月号、2021年3・4月号に解説を投稿されているので是非確認頂ければと思います。

ICTの進歩は目覚ましいですが、それでも記録のマネジメントとして変わらないところ、変えてはいけないところと、時代に合わせて変わったところも見えてくると思います。

また、国際競争社会の現代においては、日本の常識は必ずしも世界の常識ではないこともあります。

分類(Classification)

今回は、分類という用語を取り上げます。
ISO上の定義は、「systematic identification and/or arrangement of business activities and/or records into categories according to logically structured conventions, methods, and procedural rules」(訳:業務活動及び/または記録を論理的に構成されたしきたり、手法および手順的な規則に従ってカテゴリー別に区分、及び/または整理すること)です。ここで「あれっ」と感じた方もいらしゃるかも知れません。

自分達が慣れ親しんだ分類とは違うようだ!

私も常々、文書情報管理は業務遂行の手段であるとして取り組んでおりますが、ISO(グローバル)の考え方と同じだと認識しました。すなわち、業務が、ビジネス活動が主体でああるということがポイントですね。それを分類するのです。

日本の伝統的な分類方法

機関誌IMの2021年3・4月号「記録管理の国際標準:ISO15489を読み解く」で小谷允志氏が、「日本の伝統的な分類方法」について紹介されていますので、以下に引用します。

日本の文書管理は、ほとんどがファイリングシステムに依拠しているため、いわゆる「ツミアゲ方式」「ワリツケ方式」を基準としているのに対し、グローバルの記録管理では「業務分類」を基準としているのである。
「ツミアゲ方式」
とは、まず職員が自ら文書の現物を見ながら、その内容や種類、形式などにより共通性のある文書をグルーピングして、小分類から中分類、大分類へと3段階の階層構造へと積み上げていく分類方式である。このように元々は現物の紙文書を机の上に並べてグルーピングし、下から上の階層へと順々に積み上げてゆくことで分類するため、この名前が付いたのである。
「ワリツケ方式」とは逆に大分類から、中分類、小分類と現物を基にせず、理論的に文書を上から下へと分類体系を組み立てる方式である。
ファイリングシステムでは、
「ツミアゲ方式」をメインにし、「ワリツケ方式」で補うのがよいとされてきた。
これに対してグローバルの記録管理では、先に述べたように「業務分類」が基本である。正に、この用語集にも入っている「業務分類体系」による分類方式である。ここで「業務分類体系」business classifi cation schemeは「記録を記録作成のコンテクストに結び付けるためのツール」と定義されている。すなわち、記録とその記録を生み出す業務のコンテクストにより分類体系を構築すべきだと言っているのである。具体的には記録の発生源である業務そのものを評価、分析し、業務と記録の関連性を明らかにすることにより分類体系を構築する分類方式である。

これからの分類

これからは、どうすればよいか。私の提言は、ISOに準じ「業務分類」、業務主体で進めるように転換していくことをお薦めしたいと思います。特に、電子文書情報管理においては、
文書、記録を机の上に広げて分類を考えるという範囲を大きく超えた物量があります。

そこに、電子文書情報管理においては、「ツミアゲ方式」の限界を感じてしまいます。
業務の利便性から言えば、「部門別」程度の「ワリツケ」は、あってもよいのでしょうが、
過度にそこに注力するよりも業務としての細分化、流れを正確につかむ方が業務は効率的に回るのではないかと思います。

いかがでしょうか。

文書戦士

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