経営者

記録を改変してはいけない

既に決裁済の調書を修正することは問題があり行うべきではない。

これは、森友学園事件で自殺に追い詰められた近畿財務局職員の赤木俊夫さんが、備忘録に残した文書です。しかし、残念ながらこれを当たり前と受け取れない方々も多くいらっしることが今回はっきりとわかったのではないでしょうか。

記録を識別できているか

あなたの会社では、記録を識別できていますか。
ここ最近は、国税関連帳簿書類の電子保存容認から電子保存推奨の流れがあり、
経理部門を中心に納税に係る証憑の保全、システム連携が着目を集めています。
他社に後れを取るなとばかりに多くの方が、有償・無償にセミナーに参加しています。

国税関連帳簿書類の場合は、国税庁からこれが税金に関する証憑(エビデンス)ですよ。
と示されています。それを国税庁の指示に従って保管・保存しているまでです。つまり、各担当者は、自分の頭を働かせて、記録かどうかの判別をしている訳ではありません。

一方、会社では、社長の決裁を始め、日々多くの業務が処理されています。
そこでは、会社として、組織として何が記録かを識別して残していくことが必要です。
その識別には自らの頭を働かせて考えていく必要があるります。

この差は大きいです。単にシステムを入れればいいわけではなく、組織として、
能力をアップしていく必要があります。

記録は改変しない組織文化になっているか

「決裁済調書を修正する」この表現は非常に気になります。「決裁済調書を修正する」ことを「改ざん」といいます。ここで、改ざんと言わせない組織文化もしくは圧力があったのではないかというところです。あなたの会社ではどうでしょうか。「改ざん」を「改変、修正」として日常からやったり、やらせたりしている文化ではないですか。

一番よくわかるのは、内部監査やISO審査の直前に証憑の「改変、修正」を行ったり、職印をバックデートして押しまくったりはしてはいませんか。

それが、「改ざん」なのです。「改ざん」という言葉には犯罪や非倫理性の臭いがしますので皆さんやりたがりませんが、「修正」というと同じ行為でも精神的なハードルが下がるようです。

記録として残したものの、その内容が誤っていたり、手続きが遅れていた場合に、元の原本を修正するから「改ざん」なのです。

元の原本をそのまま残し、修正理由等の履歴を残し、新しい版を作れば、これは「改ざん」ではなく、「更新」となります。手続きが遅れた場合も、「いつから有効とする」として、
処理した日付をそのまま記せばよいのです。

内部監査やISO審査の審査側もこのような活動を改善や是正策としてキチンと認めていくことが大切です。正直ベースでやっていることを認める姿勢がないと「改ざん」を呼び、組織をより大きな犯罪に向かわせることになり、本末転倒となります。

記録の残し方

記録は、「改ざん」を受けづらい方式で残すべきです。この点でいえば、森友学園事件でもそうですが、記録原本を事務所内で、紙で残すことは一番リスクが高い方法です。
このような状態においておくとが、「改ざん」に手を染めるを誘発します。ですので、経営者は、できるだけ速やかに対処していく必要があります。

では、どうすればよいのか。
一番わかりやすいのは、一度登録したら書き換えたり、削除できない電子システムに登録してしまうことです。
ただ、このようなシステムは割高になることが多いので、「記録」を一般の文書情報とは分け、その削除や差し替えは、ごく一部の者にしか許さない。また、その作業ログが残るようにしておくことです。

経営者の責任としては、自社として、どこまでのレベルの電子的な仕掛けが必要で、どこまでコストを掛けるかを検討していくといいのではないでしょうか。

文書戦士

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